探偵科学

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第4章 ボールの並び替え事件

体育館のとなりの廊下は、朝の冷たい空気が少しだけ残っていた。壁に貼られた体育の予定表の紙が、だれかが通るたびにふわりと揺れる。ピーッ。どこかで鳴った笛の音が、体育館の中で跳ね返って、廊下まで薄く流れてきた。まるで映画のワンシーンみたいに、音...
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第3章 画びょうの数が合わない

朝の廊下は、まだ少しだけ眠っているみたいだった。窓から差しこむ光が、床のワックスに細い川のように伸びて、そこを上ばきが「きゅっ、きゅっ」とすべる。遠くの教室から、机を引く音。だれかの笑い声。プリントをめくる「ぱらり」という乾いた音。そして―...
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第2章 備品庫のラベルが語ること

ガチャリ。鍵が回る音は小さいのに、なぜか胸の中まで響く気がした。先生がドアノブを押すと、学校の「備品庫」の扉がゆっくり開く。薄暗い。だけど、怖くない。むしろ、探検のはじまりみたいだった。廊下の明るさが、ドアのすき間から細長い光の帯になって床...
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第1章 学級ロッカー前の小さな失踪事件

廊下の窓から、午後の光が斜めに差しこんでいた。光の筋の中を、ちいさなホコリがキラキラ舞っている。まるで映画のスローモーションみたいに。「カチャン」だれかがロッカーのとびらを閉めた音が、学級のざわめきのすき間をすべってきた。その音のあと、ほん...